
23区と多摩26市を全部調べて分かったこと
東京すまいラボでは、23区すべてと多摩地域の26市、あわせて49エリアの補助金・給付金を、ひとつずつ自治体の公式サイトで確認してまとめました。
はっきりしたのは、23区と多摩では、支援している方向がまるで違うということです。23区は家賃と現金に、多摩は毎月の固定費をゼロにすることに力を入れています。同じランキングに並べても比べようがないので、ランキングは23区編と多摩26市編に分けました。
このページでは先に、「制度があるか・ないか」で23区と多摩を見比べる表を見てください。金額は毎年変わりますが、制度を持っているかどうかは自治体の方針なので、そう簡単には変わりません。
📌 このページの使い方と注意
ここで紹介する金額・条件は2026年9月時点で各自治体が公表しているものです。補助金は年度ごとに内容が変わり、予算の上限に達すると年度の途中でも受付が終了します。ランキングはあくまで「どこに力を入れている自治体か」を知るための目安として使い、申請するときは必ず各エリアの記事から公式ページに進んで、最新の内容を確認してください。
ランキングは2つに分かれています
実際の家探しも「都心で探すか、多摩で探すか」を先に決めてから始まります。それぞれの土俵に合った軸でランキングを作りました。
🗼 23区編|家賃と現金の勝負
- 🏠 住まい・家賃の助成が大きい区(千代田区の月最大88,000円など)
- 🤰 出産・不妊の支援が手厚い区(港区の出産費用助成81万円など)
- 👶 子育ての毎月の負担が軽い区(江戸川区の乳児養育手当 月13,000円など)
🏞 多摩26市編|毎月ゼロと、災害への備え
- 👶 子育ての毎月の負担が軽い市(給食費・保育料・医療費がそろって0円の市など)
- 🌊 水害・がけへの備えが手厚い市(調布市の擁壁500万円など)
- 🎓 出産・教育のサポートが厚い市(清瀬市の不育症30万円など)
その前に|東京都の制度と、区市町村の制度は別ものです
「東京都の補助金」と検索すると、都の制度と区市町村の制度がまざって出てきます。この2つは申請する窓口も、もらえる条件もちがいます。
🏛 ざっくり言うとこうです
- 東京都の制度=都内どこに住んでいても使える。018サポートや私立高校の授業料助成、断熱窓・太陽光の助成など
- 区市町村の制度=住んでいるエリアでしか使えない。給食費・保育料・家賃助成・水害対策・耐震はこちら
- まぎらわしいもの=0〜2歳の保育料無償化や給食費の負担軽減は「都のお金を区市町村が配る」形。窓口は区市町村です
金額より大事|「制度があるか・ないか」で23区と多摩を比べる
補助金の金額は毎年変わります。でも「その制度をそもそも持っているかどうか」は、その自治体の方針なので簡単には変わりません。住む場所を決めるときに効くのは、じつはこちらです。3つの軸で見比べます。
① 子どもの通院で毎回200円かかるか
東京都の子ども医療費助成には「通院1回につき最大200円をお支払いください」という一部負担金が定められています。これを区市町村が自分たちのお金で消しているかどうかで分かれます。なお都の基準でも、未就学児(マル乳)にはこの負担がありません。
| 通院時の自己負担 | エリア |
|---|---|
| かからない (37エリア) |
23区すべて/府中市・調布市・西東京市・立川市・日野市・三鷹市・武蔵野市・昭島市/東村山市(令和8年4月に撤廃)・武蔵村山市(令和6年10月に撤廃)・福生市・狛江市(ともに令和7年10月に廃止)・東大和市・あきる野市 |
| 令和8年10月から0円へ (1エリア) |
国立市(市が「市独自制度」として廃止。それまでは200円がかかります) |
| 小学生以上の通院にかかる (10エリア) |
町田市・八王子市・小平市・小金井市・国分寺市・東久留米市・多摩市・稲城市・清瀬市・羽村市 ※いずれも未就学児(マル乳)は自己負担なし。入院・調剤も無料です |
| 高校生だけかかる (1エリア) |
青梅市(小中学生の200円は令和4年10月に廃止済み。高校生年代だけ残っています) |
⚠️ ここが23区と多摩のいちばん分かりやすい差です
23区は全23区が自己負担ゼロ。一方多摩では11エリアで200円が残っています。ぜんそくやアレルギーなどで通院が多いお子さんがいるご家庭は、年間の負担にはっきり効いてきます。ただしこの仕組みは動いている最中で、令和6年以降だけでも武蔵村山市・東村山市・福生市・狛江市が廃止し、国立市が令和8年10月に廃止します。最新の状況は各エリアの記事と公式ページで確認してください。
② 移住支援金・空き家バンクがあるか
「東京へ移住したら支援金がもらえる」と思われがちですが、国の移住支援金は東京圏から地方へ出る人のための制度です。そのため23区と多摩の多くでは対象になりません。
| 制度 | 49エリアで確認できたもの |
|---|---|
| 移住支援金 | 青梅市のみ(最大100万円)。基本10万円に、田園里山暮らし応援地区への転入・空家等の購入・若者加算・子育て加算が積み上がります。ただし「事前に市へ移住相談をしていること」が必須で、家を決めてからでは間に合いません |
| 空き家バンク | 青梅市(登録物件を移住者が取得すると改修費の3分の2・上限100万円)。狛江市にもバンクはありますが、取得や改修への補助金は確認できませんでした。ほかのエリアでは「住むための空き家バンク」を確認できていません |
| 結婚新生活支援事業 | 立川市(1世帯あたり最大30万円)が、49エリアで見つかった唯一の例です。ただし夫婦ともにライフデザイン支援講座などの受講が条件になります |
③ 水害・がけへの助成があるか
止水板やがけ・擁壁の工事にお金を出すかどうかは自治体でまったく違います。ハザードマップで危ないエリアでも助成がない場合があるので、家を買う前に確認しておきたい部分です。
| 助成 | 金額(2026年9月時点) |
|---|---|
| 止水板の設置 | 荒川区 上限150万円/品川区 5分の4・上限100万円/北区 2分の1・上限50万円/江戸川区 上限50万円/足立区 2分の1・上限50万円/三鷹市 2分の1・50万円/八王子市 分譲マンション向け上限50万円/調布市 2分の1・上限20万円/文京区は高齢者等住宅修築資金助成に含める形(上限20万円) |
| 止水板の助成が 確認できなかった例 |
墨田区・江東区・台東区・葛飾区(いずれもゼロメートル地帯や低地を抱えます)/稲城市・国立市・福生市・羽村市・あきる野市 ※墨田区は代わりに雨水タンクの助成(上限5万円)があります |
| がけ・擁壁の工事 | 調布市が突出(擁壁の築造工事に最大500万円、土砂災害対策工事に最大1,000万円)。一方で小金井市・狛江市・稲城市・東大和市・福生市・羽村市・あきる野市では確認できませんでした。丘陵地や崖線を抱えていても助成がないエリアがあります |
ランキング以外にも|そのエリアならではの制度
順位はつきませんでしたが、「ここにしかない」という制度がいくつもありました。
💡 ほかでは見かけない制度
- 荒川区|教育費の保護者負担軽減事業。給食費だけでなく教材費・校外学習・卒業アルバム代・修学旅行費まで区が負担
- 葛飾区|子ども2人乗せ自転車の購入に上限5万円。地盤調査は費用の全額(上限50万円)
- 杉並区|みどりの助成が個人のほうが法人より手厚いという珍しい設計
- あきる野市|合併処理浄化槽の設置補助が最大249.6万円。下水道が届かない地域を抱える市ならでは
- 羽村市|上下水道の基本料金を全世帯免除。自前の水道事業を持つ市だからできる措置
- 昭島市|省エネ補助が按分方式で申請しても満額は出ません(令和7年度の按分率55.41%)
- 東村山市|補助金が現金でなくデジタル行政ポイント「東村山アインPay」で交付されます
- 小金井市|愛育手当(幼児1人につき月7,300円)。公的な補助がない認可外施設に通う子が対象
- 武蔵村山市|補助金の設計に「市内の業者に頼むと上限が上がる」が組み込まれています
- 東大和市|給食を食べられない子に弁当代を交付。無償化の穴を金銭で埋めています
住むエリアが決まったら|引っ越しの準備も忘れずに
補助金で比べて住むエリアが見えてきたら、次は引っ越しです。住宅系の補助は「契約・着工の前に申請」が必要なものが多いので、引っ越しのスケジュールを決める前に、移り先の自治体のページを一度見ておくと安心です。
🚚 引っ越し費用は相見積もりで大きく変わります
同じ荷物・同じ日程でも、業者によって金額はかなり違います。補助金で数万円を取りにいくのと同じくらい、見積もりを比べるだけで差がつくのが引っ越し費用です。
エリア別|東京49エリアの補助金記事一覧
23区すべてと多摩26市、あわせて49エリアの記事です。それぞれ制度名・金額・申請の期限に加えて、「そのエリアには無いもの」まで正直に書いています。
🗼 23区(23)
湾岸エリア(6)
城東エリア(6)
城西・城北エリア(6)
都心・城南エリア(5)
🏞 多摩26市(26)
多摩東部エリア(6)
多摩中央エリア(6)
多摩北部エリア(6)
多摩西部・南部エリア(8)
福生市、羽村市、青梅市、あきる野市、稲城市、多摩市、八王子市、町田市
まとめ|東京で子育てするなら、どこを見て選ぶか
49エリアを調べ終えて、いちばん強く感じたのは「同じ東京なのに、力の入れどころがまるで違う」ということでした。
23区は現金と家賃に寄っています。港区の出産費用助成81万円、千代田区の月最大88,000円の家賃助成、渋谷区の出産助成金10万円。住居費が高いぶん、そこを直接支える設計です。
多摩は毎月の固定費をゼロにする方向です。武蔵村山市・稲城市・羽村市のように、給食費と保育料をまとめて0円にしている市が目立ちます。そのかわり、通院200円が残っている市も11ありました。
そして災害への備えは、自治体によって驚くほど差があります。調布市が擁壁に最大500万円を出す一方で、同じように丘陵地や崖線を抱えるエリアで助成が見つからないこともありました。ゼロメートル地帯を抱えながら止水板の助成がない区もあります。土地を買う前に、ここは必ず確認してください。
補助金は、こちらから申請しないともらえません。役所から「あなたはこの制度が使えますよ」と教えてもらえることは、ほとんどないのが実情です。